「イラン核合意」の行方(下)消えない「反対派」の疑念
しかし、今回の核合意がきちんと履行されたとしても、様々な不安や問題点は残る。その1つはネタニヤフ首相による猛烈な反対である。
イスラエルは公式には認めていないが中東における唯一の核保有国であり、イランが核武装することは中東の軍事バランスを変更することになるとみているため、僅かでもイランが核兵器開発をする可能性が残ることに反対している。実際イスラエルは、1981年にイラクのオシラク原発が稼働する前にイスラエル空軍機によって爆撃し、サダム・フセインによる核開発の可能性を封じたという成功体験もある。そのため、イスラエルがイランに対して突如空爆を仕掛けるという可能性も完全には排除できない。過去に3度イラン攻撃を検討したことがあると、イスラエルのバラク元国防大臣が発言し、今回もイラン攻撃はしないとの見方もあるが、アメリカは核合意がまとまった直後にカーター国防長官らをイスラエルに派遣し、緊密に連携することでイスラエルの暴走を食い止めようと必死である。

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