中国に冷遇され破たんする「プーチン戦略」:「反日外交」も裏目?

執筆者:名越健郎 2015年9月9日
エリア: ヨーロッパ アジア

 ロシアのプーチン大統領は9月3日、中国の対日戦勝70周年式典に参列、習近平国家主席の右隣に立ち、中露の盟友ぶりを誇示した。同大統領の訪中は、2000年の就任以来これが24回目。この間の訪日は4回で、最近の北方領土問題での反日志向と併せ、すっかり中国一辺倒に舵を切った形だ。3日夜の首脳会談では、30近い経済協力文書が両首脳の見守る中で調印された。だが、いずれの案件も中国の消極姿勢が目立ち、ロシアの経済苦境を救う案件はなかった。欧米の制裁で中国が頼りのロシア経済にとって、中国の冷淡な対応は誤算だ。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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