饗宴外交の舞台裏 (208)

「韓国外相」が見せた異例の「日本への気遣い」

執筆者:西川恵 2015年9月15日
エリア: 北米 アジア

 8月末、ソウルで2泊3日の日程で開かれた日韓フォーラムに参加した。このフォーラムは年1回、日韓両国の研究者、政治家、ジャーナリストらが一堂に会し、クローズ・ドアで忌憚なく議論を交わす。しかし今年は北京でもたれる抗日戦争勝利70周年記念の軍事パレードの式典に朴槿惠大統領が参列する直前という微妙な時期だっただけに、日本に気兼ねする韓国の心内がのぞいた。

 

穏やかだった「安倍首相談話」への反応

 10年来、このフォーラムに参加しているが、今年は憂うつだった。安倍晋三首相の戦後70年談話が出たばかりで、議論がトゲトゲしいものになるのではないかと思ったからだ。しかし杞憂に終わった。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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