取り残される飯舘村「長泥地区」(上)「同じ村」の中での格差

執筆者:寺島英弥 2016年12月26日
タグ: 原発
長泥地区の入り口のバリケードを開ける鴫原区長(10月26日、筆者撮影)

 東京電力福島第1原発事故のため全住民の避難が続く福島県飯舘村で、政府が来年3月末、ほぼ除染が完了するとして避難指示を解除する。いまなお残る放射線への不安など難問山積の中、住民は「帰るか帰らぬか」の選択を迫られている。しかし、古里が村の中でただ1つの帰還困難区域とされ、将来が見えないまま新たな年を迎える人々がいる。浪江町と接する飯舘村長泥(ながどろ)行政区。いまだ除染の計画もなく取り残される山懐の地域を訪ねた。

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執筆者プロフィール
寺島英弥(てらしまひでや) ローカルジャーナリスト、尚絅学院大客員教授。1957年福島県相馬市生れ。早稲田大学法学部卒。『河北新報』で「こころの伏流水 北の祈り」(新聞協会賞)、「オリザの環」(同)などの連載に携わり、東日本大震災、福島第1原発事故を取材。フルブライト奨学生として米デューク大に留学。主著に『シビック・ジャーナリズムの挑戦 コミュニティとつながる米国の地方紙』(日本評論社)、『海よ里よ、いつの日に還る』(明石書店)『東日本大震災 何も終わらない福島の5年 飯舘・南相馬から』『福島第1原発事故7年 避難指示解除後を生きる』(同)、『二・二六事件 引き裂かれた刻を越えて――青年将校・対馬勝雄と妹たま 単行本 – 2021/10/12』(ヘウレーカ)、『東日本大震災 遺族たちの終わらぬ旅 亡きわが子よ 悲傷もまた愛』(荒蝦夷)、3.11以降、被災地で「人間」の記録を綴ったブログ「余震の中で新聞を作る」を書き続けた。ホームページ「人と人をつなぐラボ」http://terashimahideya.com/
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