
著書を手に持つ閻連科氏(著者撮影)
中国を代表する作家で、日本の村上春樹と並んで、ノーベル文学賞の候補にも挙げられる閻連科。その最新作『炸裂志』(泉京鹿訳、河出書房新社)がこのほど日本で出版された。
その内容は、改革開放の中国社会のなかで、あらゆる不正行為に手を染めながら、村から鎮へ、鎮から県へ、県から直轄市へと階段を上っていく「炸裂」という想像上の地域を舞台にした巨大な寓話である。
もともと村の有力者だった孔一族とその周辺の人々が、不正、贈賄、泥棒、売春、ゆすりなどあらゆる手段を使ってのし上がり、権力をつかみ、富を蓄積していく。そのスピード感は、1990年代から止まった時間を過ごしてきた私たち日本人にとっては、ある種の爽快さや嫉妬すら感じさせる。

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