風が時間を (18)

まことの弱法師(18)

執筆者:徳岡孝夫 2017年9月18日
タグ: アメリカ 日本
エリア: 北米

 日本なら空港で客を待っているはずのタクシーが一台もない。レンタカーをしようにも、私には自動車運転の技術がない。大学からあらかじめ連絡があったのか、私より一年下で京大出のN君が車で迎えに来てくれていた。半年間の宿であるサドラー寮に着いて驚いた。

 大学そのものはシラキュースの町からバスで10分ほどの距離にあるがその大学のフットボール競技場の見える位置にサドラー寮がある。建って1年か2年しか経っていない新築同様である。

 私の部屋はその3階建ての2階、2人部屋である。ドアを開けると左側が室友ロス・フレミング、右側が私の居住区だった。

カテゴリ: 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
徳岡孝夫(とくおかたかお) 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
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