2018年1月1日午前1時20分――。年が明けたばかりの東京・世田谷区の住宅街に、近隣の寺から除夜の鐘の音が響き渡っている。
きれいな満月の夜だった。風はないが、気温は氷点下に近い。澄んだ空気が冷たく、自転車のハンドルを握る手が、軍手越しに痛んだ。
普段であれば、人気の途絶える時間帯だ。しかし、この日は元日とあって、若いアベックらが駅へと向かい歩いている。初詣客のため、電車が徹夜で運行しているのだ。
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