「レームダック化」で「求心力低下」に直面するライアン下院議長

執筆者:足立正彦 2018年5月31日
タグ: トランプ
エリア: 北米
引退まであと5カ月(C)AFP=時事

 

【ワシントン発】 一部では憶測され続けてはいたが、下院共和党指導部を率いるポール・ライアン下院議長(ウィスコンシン州第1区選出)が4月11日、今季限りでの政界引退の意向を表明した(2018年4月13日「共和党『苦難の序曲』となるかライアン下院議長『政界引退表明』」参照)。各方面から驚きを持って受け止められたその表明から1カ月半が経過した。

 ライアン氏にとって、2019年1月の任期満了まで残り約7カ月間の下院議長在職中の最大の課題は、11月6日に投票が行われる2018年中間選挙での改選後も、与党・共和党が下院での多数党の立場を引き続き維持することである。そのためにも現在、ライアン氏は全米各地での政治資金集めと、重点選挙区での共和党候補の選挙キャンペーン支援を積極的に行っている。同時に、すでに自らの後継として支持を表明している下院共和党指導部ナンバー2のケヴィン・マッカーシー共和党下院院内総務(カリフォルニア州第23区選出)に、下院議長職を引き継がせようとしている。だが、ライアン氏のそうした思惑に反し、同氏の党内における求心力は複数の方面から最近急速に低下しつつある。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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