岩瀬昇のエネルギー通信 (55)

原油価格「突如暴落」でアメリカ国民は幸せか

執筆者:岩瀬昇 2018年7月12日
エリア: 北米 中東 アジア
報復合戦はいつまで続くのか(C)AFP=時事

 

 7月11日(水)、ドナルド・トランプ大統領のおかげで原油価格が急落した。これでガソリン価格も下がるだろう。アメリカの庶民は幸せになるだろう……。

 と思うのは大間違いである。

 では、なぜ原油価格は急落したのだろうか。

 11日、米国の原油商業在庫が1260万バレル減少した要因もあり、NYMEXのWTI原油の下落率は北海ブレント原油の下落率より小さかった。それでも5%、バレルあたり3.73ドルも下落し、終値70.38ドルだった。ブレント原油は6.9%、5.46ドル下落し、終値73.40ドルだった。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top