
まだ髷を結っていた頃の藤原あき。正確な撮影年は不詳。この後、あきは波瀾万丈の人生を送ることになる(自伝『雨だれのうた』(酣燈社)より)
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藤原あきが明治の時代に皇族や旧大名一家の娘たちと肩を並べて、いや、それ以上の教育を受け物質的にも豊かな暮らしがなぜ出来たのであろう。
それには、父親の中上川(なかみがわ)彦次郎について知る必要がある。
彦次郎は嘉永7(1854)年、中津藩の金谷森ノ町に豊前国(大分県)中津藩藩士・中上川才蔵の長男として生を受ける。母親は福澤諭吉の姉・婉(えん)だ。

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