灼熱――評伝「藤原あき」の生涯(11)

執筆者:佐野美和 2018年9月30日
エリア: アジア
まだ髷を結っていた頃の藤原あき。正確な撮影年は不詳。この後、あきは波瀾万丈の人生を送ることになる(自伝『雨だれのうた』(酣燈社)より)

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 若くも美しく箱入りで育てられてきた生娘が、三つ指ついて自分の所有物になる。新床の甘露をむさぼり、若鮎のしなりを夫は汗ばんだ骨っぽい手で押さえる。

 はじめ新妻はからだ中に力を入れて拒否してきたが、毎晩のように隣りの床から執拗に求めてくる夫に、心とは裏腹、次第に女の身体が反応して行く。

 肉体の目を開かれていくあきは、夫に抱かれることに後ろめたさを感じ、その罪悪感から体感したことのないほどの恍惚感に包まれる。

カテゴリ: 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
佐野美和(さのみわ) 政治キャスター。東京都八王子市出身。株式会社チェリーブロッサムインターナショナル代表取締役。大学在学中、フジテレビの深夜番組として知られる『オールナイトフジ』のレギュラーメンバー「オールナイターズ」の一員として活躍した。1992年度ミス日本に選ばれる。TBSラジオのパーソナリティ、TBSラジオショッピングの放送作家を経て、1995年から2001年まで八王子市議会議員として活動。以後はタレントとしてテレビ出演のほか、講演会も精力的に行う。政治キャスターとしてこれまで600人以上の国会議員にインタビューしている。主な書籍に『アタシ出るんです!』(KSS出版)、『あきれたふざけた地方議員にダマされない!』(牧野出版)などがある。
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