
ヨーロッパを席巻したナポレオンは「皇帝」に就いたが――
前後20年近くにおよぶナポレオンの興亡は、中世から近世にわたるヨーロッパ史の全過程をいわばくりかえした縮図だろうか。ハプスブルク家を中心とする対仏大同盟との対決は、さながらローマ皇帝争奪の継続にして再演だった。勝ち抜いたナポレオンは、名実ともに全欧を制覇し、「皇帝」の名にふさわしい版図を有する。ルイ14世でもできなかった偉業にまちがいはない。
フランスの場合
ところがナポレオンは、その支配に反抗する動きをとどめることができなかった。その「帝国」は「諸国民」の戦いで瓦解して、多元的な国民国家の並立体制が、ウィーン会議で最終的に確立する。

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