世界漫遊「食考学」の旅 (15)

【ブエノスアイレス】「聖女」エビータのポピュリズムと肉の炭焼き

執筆者:野嶋剛 2019年2月15日
エリア: 中南米
名付けて「肉なんでも定食」(筆者提供、以下同)

 

 その墓は、花で溢れていた。

 小雨の降り続く冬のブエノスアイレス。その郊外にある「レコレータ墓地」を訪れた。歴代のアルゼンチン大統領や高名な文人、学者の墓を集めたこの場所は、指折りの観光地である。

 ここには「墓ガイド」がいる。スペイン語のガイドばかりだが、ようやく英語のガイドを見つけて、エビータの墓に案内してもらった。

 エビータと言えば、フアン・ペロン元アルゼンチン大統領夫人、エバ・ペロンの愛称だ。国民的人気を誇ったが、若くしてガンを患い、大統領夫人のまま33歳の若さで世を去った。その生涯はミュージカルや映画にも描かれている。

カテゴリ: 政治 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
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