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ブレグジット迷走の謎を知る最良の教材:浦沢直樹 ・勝鹿北星・長崎尚志『MASTERキートン』

 英国・アイルランドでは、頭文字を大文字で表記する「The Troubles」という特別な言い回しがある。日本語として定着している「トラブル」という一般名詞のイメージとは違い、この言葉には血生臭い歴史が染みついている。テロや弾圧で3000人以上の死者を出した北アイルランド問題を指す婉曲表現だからだ。

 当初は2019年3月末にセットされていたブレグジット(英国のEU=欧州連合=の離脱)は、ギリギリで先送りとなり、なお英政界の混乱で先が読めないカオスが続く。この迷走の最大の要因はEU加盟国であるアイルランドと英領である北アイルランドの間の国境、いわゆる「アイリッシュ・ボーダー」問題だ。なぜ、わずか500キロほどのこの国境が解決不能な難題なのか、日本人には理解に苦しむところ。このTroublesの根深さを肌感覚で知る格好の教材が『MASTERキートン』(小学館)だ。

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執筆者プロフィール
高井浩章 1972年生まれ。経済記者・デスクとして20年超の経験があり、金融市場や国際ニュースなどお堅い分野が専門だが、実は自宅の本棚14本の約半分をマンガが占める。インプレス・ミシマ社の共同レーベル「しごとのわ」から出した経済青春小説『おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密』がヒット中。 noteの連載はこちら→https://note.mu/hirotakai ツイッターアカウントはこちら→https://twitter.com/hiro_takai
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池内恵の中東通信

池内恵(いけうちさとし 東京大学教授)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について日々少しずつ解説します。

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