灼熱――評伝「藤原あき」の生涯(53)

執筆者:佐野美和 2019年5月26日
タグ: イタリア 日本
エリア: ヨーロッパ アジア
自著『雨だれのうた』(昭和22=1947=年刊より。撮影年不詳だが、義江と結婚できた幸せの頂にいたころ)

 昭和7(1932)年7月17日の『朝日新聞』夕刊に、その24年ぶりの親子再会の記事は載る。

 赤坂区青山南町5の33の藤原邸に母・菊がやってきて対面を果たしたと、着物姿でくつろぐ義江の写真と、テーブルを挟み同じく着物姿で小さな髷をゆった菊の笑顔が写されている。赤坂区青山南町の家はあきが宮下と離婚後、1人で住んでいた家だ。

 記事によると「母堂は『私の顔に見覚えがありますか』と言ったきりうつむき涙を流し、われらのテナーは、ああ見覚えがありますと言って涙を流した」とある。

カテゴリ: 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
佐野美和(さのみわ) 政治キャスター。東京都八王子市出身。株式会社チェリーブロッサムインターナショナル代表取締役。大学在学中、フジテレビの深夜番組として知られる『オールナイトフジ』のレギュラーメンバー「オールナイターズ」の一員として活躍した。1992年度ミス日本に選ばれる。TBSラジオのパーソナリティ、TBSラジオショッピングの放送作家を経て、1995年から2001年まで八王子市議会議員として活動。以後はタレントとしてテレビ出演のほか、講演会も精力的に行う。政治キャスターとしてこれまで600人以上の国会議員にインタビューしている。主な書籍に『アタシ出るんです!』(KSS出版)、『あきれたふざけた地方議員にダマされない!』(牧野出版)などがある。
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