灼熱――評伝「藤原あき」の生涯(56)

執筆者:佐野美和 2019年6月16日
エリア: ヨーロッパ アジア
自著『雨だれのうた』(昭和22=1947=年刊より。撮影年不詳だが、義江と結婚できた幸せの頂にいたころ)

 昭和11(1936)年2月26日。

 鎌倉山の家であきが目を覚ますと、あたり一面に溜まる積雪が気温を一層下げているようだ。

 この2月は雪ばかりだった。もう春なんて永遠に来ないのではないかと思ってしまうほど寒く、黒い雲が手を伸ばせば届きそうなところにある。こんな時は、同じように暗く厳しいミラノの冬を思い出すようにしている。そうすると少しは気が晴れるのだ。

 しかし、あちらでは石造りの家にセントラルヒーティングなるものがあり、家の中全体を温められた。日本では炬燵に火鉢しかなく、こう寒いと火鉢や炬燵から離れられない。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
佐野美和(さのみわ) 政治キャスター。東京都八王子市出身。株式会社チェリーブロッサムインターナショナル代表取締役。大学在学中、フジテレビの深夜番組として知られる『オールナイトフジ』のレギュラーメンバー「オールナイターズ」の一員として活躍した。1992年度ミス日本に選ばれる。TBSラジオのパーソナリティ、TBSラジオショッピングの放送作家を経て、1995年から2001年まで八王子市議会議員として活動。以後はタレントとしてテレビ出演のほか、講演会も精力的に行う。政治キャスターとしてこれまで600人以上の国会議員にインタビューしている。主な書籍に『アタシ出るんです!』(KSS出版)、『あきれたふざけた地方議員にダマされない!』(牧野出版)などがある。
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