歌劇団内でプリマドンナたちとの色恋を楽しむ義江に、自宅の鎌倉山と東京を往復し主婦業と歌劇団の運営に大忙しのあき。
そしてこの後、義江の心を虜にし、すべてを破壊する女の足音が、もうかなり近くまで忍び寄っていることにまだどちらも気づいていなかった。
戦前からのあきの最も重要な仕事の1つに、切符の販売があった。
華族女学校(学習院)からの上流階級との交流を中心に、一軒一軒頭を下げて切符を買ってもらう。こうして売り歩かなければ100人の観客も集まるかどうかというのがオペラの現状だった。
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