饗宴外交の舞台裏 (253)

「G7直前」マクロン主催「ワーキングディナー」がもたらした「仏露接近」

G7直前に行われた仏露首脳会談。マクロン仏大統領(右)と握手するロシアのプーチン大統領 (C)AFP=時事

 

 仏南西部ビアリッツでの主要国首脳会議(G7サミット)の5日前、エマニュエル・マクロン仏大統領はロシアのウラジーミル・プーチン大統領を南仏の大統領保養地に招き会談した。外交的思惑を秘めた仏大統領の仕掛けだった。

 南仏プロバンス地方にある大統領専用保養地ブレガンソン島。地中海にある周囲500メートルほどの小島で、中世には城砦が築かれていた。1968年に大統領保養地となり、現在は駐車場とヘリポートを兼ねた堤防で陸続きとなっている。外界から孤立して目につきにくく、警備も容易なことなどから、歴代大統領は好んでここで休暇をとってきた。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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