引き裂かれた時を越えて――「二・二六事件」に殉じた兄よ

【特別連載】引き裂かれた時を越えて――「二・二六事件」に殉じた兄よ(7)「津軽義民」への道

執筆者:寺島英弥 2020年1月12日
タグ: 日本
エリア: アジア
ありし日の対馬勝雄中尉(波多江さん提供)

〈祖母ガ病気ナリト聞キタレバ早速弘前ニ向フ。晝(ひる)頃浦町駅(注・青森市、現在は廃駅)ヲタチ、二時間許ニテ叔父ノ家ニツク。直チニ祖母ヲ見舞フ。スツカリ痩セ給ヘルニ驚ク、祖母ハ今年七十五才余命少キヲ悲シムベシ 叔父ノ家ニ泊ル〉

 二・二六事件=1936(昭和11)年=で蹶起し銃殺刑とされた青年将校の1人、青森出身の対馬勝雄中尉(享年28)。

 まだ16歳だった1924(大正13)年3月20日の日記の一節である。

 皇国軍人の志と精神をはぐくんだ仙台陸軍幼年学校がその2日前、「山梨軍縮」の一環で廃校となり(2019年12月18日『(6)廃校の憾み、少年の胸に宿り』参照)、2学年を修了したばかりの勝雄が理不尽な思い、傷ついた心を抱えて帰省した春休みの出来事だ。

カテゴリ: 社会
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執筆者プロフィール
寺島英弥 ローカルジャーナリスト、尚絅学院大客員教授。1957年福島県相馬市生れ。早稲田大学法学部卒。『河北新報』で「こころの伏流水 北の祈り」(新聞協会賞)、「オリザの環」(同)などの連載に携わり、東日本大震災、福島第1原発事故を取材。フルブライト奨学生として米デューク大に留学。主著に『シビック・ジャーナリズムの挑戦 コミュニティとつながる米国の地方紙』(日本評論社)、『海よ里よ、いつの日に還る』(明石書店)『東日本大震災 何も終わらない福島の5年 飯舘・南相馬から』『福島第1原発事故7年 避難指示解除後を生きる』(同)。3.11以降、被災地で「人間」の記録を綴ったブログ「余震の中で新聞を作る」を書き続けた。ホームページ「人と人をつなぐラボ」http://terashimahideya.com/
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