新・マネーの魔術史:未来篇 (17)

資金逃避先となった「ビットコイン」

執筆者:野口悠紀雄 2020年1月16日
タグ: 中国
リブラ公式HPより
 

 2013年のキプロス金融危機でビットコインが資金逃避先に使われて価格が高騰し、投機の対象となった。取引所が次々に作られ、ビットコインは当初の理想とはかけ離れた性格のものとなった。中国でも取引所が作られた。

キプロス金融危機で資金逃避に使われる

 ギリシャで2010年に起こった金融危機によって、地中海の島国キプロスの銀行が保有していたギリシャ国債が不良債権化した。このため、キプロスの銀行システムが崩壊寸前に陥った。

 EU(欧州連合)は、キプロスへの金融支援を行うこととした。ただし、その条件として、厳しい金融政策の実施をキプロス政府に課した。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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