新・マネーの魔術史:未来篇 (20)

仕様改善を巡って起きた「2017年ビットコイン騒動」

執筆者:野口悠紀雄 2020年2月6日
エリア: 北米 その他
リブラ公式HPより

 

 2017年には、能力拡張のための仕様変更をめぐって、ビットコインが大きく揺れ動いた。これはビットコインが発足して以来の最大の転機だった。この問題を理解するには「フォーク」が何かを理解する必要がある。

スケーラビリティの問題が緊急になる

 それまでのビットコインの仕様では、取引能力に限度があり、取引が増えると、支障が生ずる恐れがあった。

 これは、「スケーラビリティ」と呼ばれる問題だ。

 クレジットカードの「VISA」や「MasterCard」などは、1秒間で最大4万5000件の取引を処理できると言われている。通常は、1日あたり4億~5億の取引を処理している。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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