新・マネーの魔術史:未来篇 (43)

手数料収入を当てにするメガバンクのデジタル通貨戦略は間違いだ

執筆者:野口悠紀雄 2020年7月23日
タグ: 日本
エリア: アジア
リブラ公式HPより

 

 日本で電子マネーの利用が進まないのは、店舗が支払う手数料が高すぎるからだ。

 メガバンクは、当初はブロックチェーンを用いるデジタル通貨を計画していた。しかし、その後電子マネーに転換して、加盟店舗が獲得できずに苦しんでいる。

MUFGの「coin」は、リクルートサイトでしか使えない?

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が、デジタル通貨「coin(コイン)」の提供を今年度後半にも始めると報道された。

 この記事を読んで奇異な感を持った。それは、「じゃらん」、「ホットペッパーグルメ」、「ホットペッパービューティー」など、リクルートが運用するサイトでしか使えないとなっていたからだ。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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