新・マネーの魔術史:未来篇 (46)

日本の製造業は「需要減」と「円高」の二重苦に直面する

執筆者:野口悠紀雄 2020年8月13日
タグ: アメリカ 日本
エリア: アジア 北米
リブラ公式HPより

 

 アメリカの金利が低下したため、ドル安が進んでいる。日本にはこれ以上金利を引き下げる余地はない。したがって、円高は一時的現象でなく、継続する可能性がある。日本の輸出産業は、コロナによる需要減と円高という二重苦に直面することになる。

金利差が縮小してドル安が進行している

 ドル安が進んでいる。

 ドル円レートは、2020年の1月頃には、1ドル=110円程度だった。コロナ感染が拡大し始めた3月初めに、105円程度までの急激な円高が生じた。これはすぐ元に戻ったのだが、その後傾向的な円高が始まり、5月初めに106円程度になった。これも戻して6月初めに107円程度となったが、その後は8月にいたるまで傾向的な円高が続いている。8月初めには105円程度だ。

カテゴリ: 経済・ビジネス 政治
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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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