新・マネーの魔術史:未来篇 (53)

完全に安全な金融システムを作る切り札「分散型ID」

執筆者:野口悠紀雄 2020年10月1日
タグ: 日本
エリア: アジア
リブラ公式HPより

 

 IDやパスワードを金融機関などが管理する現在の仕組みでは、いくらセキュリティを強化しても、完全に安全な金融システムは作れない。この問題を解決するには、本人がIDなどを管理する「分散型ID」によるしかない。

脆弱が暴露された日本の金融システム

「ドコモ口座」事件をきっかけに、日本の金融システムの安全性に対する疑念が強まった。

 金融システムの安全性は経済活動の最も基本的な条件だが、それが日本では不十分なことが分かったのだ。

 現在の日本では、銀行預金の安全性が完全には確立されていない。経済活動の最も重要な基礎が壊れているわけだ。金融庁は、この問題の深刻さを認識する必要がある。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top