新・マネーの魔術史:未来篇 (59)

「デジタル人民元」の目的は電子マネーの排除?

執筆者:野口悠紀雄 2020年11月12日
タグ: 中国
エリア: アジア
リブラ公式HPより

 

 電子マネーのAlipay(支付宝)は10億人以上の人に使われており、それを運用するアントグループの企業価値は、3000億ドルを超える。アントは香港、上海市場での上場を計画しており、市場最大規模の資金調達を行うと見られていた。ところが、規制当局がこれに待ったを掛け、上場は延期となった。当局は民間電子マネーの拡大を抑えようとしているのかもしれない。

信用スコアリングによる与信業務で急成長したアント

 中国で、デジタル人民元の発行計画が進められている。これと、AlipayやWeChat Payなどの電子マネーとの関係がどうなるかについて、これまで2つの対立する見方があった。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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