新・マネーの魔術史:未来篇 (60)

明らかになってきた「デジタル人民元」の構造

執筆者:野口悠紀雄 2020年11月19日
タグ: 中国
エリア: アジア
リブラ公式HPより

 

 10月中旬に、中国で「デジタル人民元」の公開利用実証実験が行われた。

 11月になってからは、Alipayを運営するアントグループの上場中止などの事件もあった。

 こうしたことを通じて、デジタル人民元の仕組みとその意図が、かなり明らかになってきた。

 ただし、本質的な部分で、まだ分からないところも多い。

 これまで報道されていることから推測できることを、以下にまとめてみよう。

現在の中央銀行券が供給される仕組み

 中央銀行デジタル通貨(CBDC)を理解するには、現在の中央銀行券発行の仕組みがどうなっているかを理解する必要がある。日本の場合について言えば、次のようになっている。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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