新・マネーの魔術史:未来篇 (61)

「デジタル人民元」は中国政府の力を飛躍的に高める

執筆者:野口悠紀雄 2020年11月26日
タグ: 中国
エリア: アジア
リブラ公式HPより

 

 デジタル人民元の採用によって、中国当局は経済をコントロールする能力を高める。それだけでなく、国内の取引を詳細に把握できるようになることから、国民支配の力を高めることにもなる。また、デジタル人民元は海外でも使えることになるので、それを通じて国際的な影響力を拡大することにもなるだろう。

間接コイン型を採用

 実証実験を通じてデジタル人民元について明らかになったのは、「間接コイン型」になるということだ。

 中央銀行デジタル通貨(CBDC)の形態としては、間接型か直接型か、口座型かコイン型かの組み合わせによって、原理的には4種類のものがあり得るとされていた。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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