岩瀬昇のエネルギー通信 (325)

内戦「イエメン」沖合原油貯蔵設備「放置」で漏出「大環境破壊」の危機

執筆者:岩瀬昇 2020年11月27日
エリア: 中東 北米
問題のFSOはイエメン西岸の「ラッス・イーサー」沖合に補修もされず放置されたまま(「独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構」JOGMEC調査部発行『2015.9 Vol.49 No.5』より、JOGMEC作成)
 

〈エクソン・バルディーズ号がアラスカ湾に向けて出航したころ、ジョセフ・ヘーゼルウッド船長は自室へと降りて行った。1989年3月23日の午後9時30分少し過ぎのことで、書類仕事が残っていたからだ〉

 ピューリッツァー賞受賞ジャーナリスト、スティーブ・コールは名著『石油の帝国 エクソンモービルとアメリカのスーパーパワー』(ダイヤモンド社、2014年)をこう書き始めている。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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