自衛隊の特殊車両で追っ手を振り切り、辛くも逃れた三人。一路、富岡駅を目指すが――。
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その自動車整備工場は、富岡町の市街地のはずれという場所にあった。
いましがた県道一一二で阿武隈高地を東に下り、太平洋側に近い平地部に入ったところで右折して県道三五に入った。一一二は三五と一部区間が重なるが、すぐに三五から分かれて富岡町の市街地に入り、富岡駅近くの国道六号との交差点で終わる。
しかし沖本信也は、市街地に入るのは避けたかった。軍事境界線のすぐ背後という位置だから、福島第一原発周辺のフランス軍のほかにも、平和維持軍を構成する各国軍のうちいくつかは、この町の周辺にキャンプなり後方拠点を持っていると考えたほうがいい。だから信也は、その工場に接近する最短の道を使おうとしているのだった。
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