政治性を避けて通れないアジアのファクトチェック

執筆者:鍛治本正人 2021年7月7日
タグ: 日本 香港 タイ
エリア: アジア
アジア諸国で活発に行われている「ファクトチェック」とはどのようなものか。(C)qvist / Shutterstock.com
アジア諸国の「ファクトチェック」活動が活発化している。報道の自由が限定される国でのファクトチェックはどのようなものか。政府主導によるファクトチェックの実態は? 香港で長年メディア研究に携わる筆者からの最新レポート。

 ここ数年、アジアにおけるファクトチェック活動は非常に活況を呈している。米デューク大学のレポーターズラボは、2016年以降毎年ファクトチェックに従事している団体の世界的な統計を発表しており、それによると、アジア大陸における団体数は2016年の時点ではわずか23であったが、今月発表された最新の報告では89と、5年間で約4倍近くに 増えている。

 この89という数字には、中央アジアの旧ソビエト連邦諸国や、中東のイランやトルコなども含まれる。報道現場で一般的に使われる「アジア地域」に限定するとその数は減るが、同時に、この統計で使われるファクトチェック団体の定義は国際的な指標である国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)の綱領に準じるため、そこから外れる団体も存在する。後述するが、実はアジア地域にはIFCN の定義には当てはまらずとも、ファクトチェックをしていると自認する団体が多数存在する。

カテゴリ: IT・メディア
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執筆者プロフィール
鍛治本正人 香港大学ジャーナリズム・メディア研究センター副教授 1970年生まれ。愛知県出身。米ミズーリ大学コロンビア校に於いてジャーナリズム修士取得後、CNNの記者として2001年香港に移住。2010年より現職。また、同香港大学に於いて2014年博士(社会学)取得。専門はアジアにおけるニュースリテラシーおよび情報生態系の研究。2015年から20年までニューヨーク州立大学・ストーニーブルック校の外部客員教授も務める。ANNIEと呼ばれるアジア地域の報道の自由、メディア関連法案などを念頭に置いた教育NPOを2019年末に設立。著作にはユネスコから出版された『Media and Information Literacy Education in Asia』、オックスフォード研究辞典収録の論考『News Literacy』などがある(すべて未訳)。
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