少数民族のロシア連邦――「ロシアンティー」の源流をたどる旅2|ブリヤート共和国

執筆者:徳永勇樹 2021年8月6日
タグ: ロシア
ブリヤート共和国の首都ウラン・ウデ市のオペラ劇場は、シベリアに抑留された日本人の手によって建設されたという ©Yuliya Letfullova
中国から欧州まで続くかつての交易路「茶の道」は、現在のロシア連邦を横断していた。その痕跡をたどりながら、ロシア各地に残る少数民族の伝統と文化、そしてそれを受け継ぐことの困難について考察する。

 

日本車が9割

 次に訪れたのは、ブリヤート共和国の首都ウラン・ウデ市だ。モスクワから飛行機で6時間、日本との時差は1時間しかない。人口は約100万人、日本でもよく知られているバイカル湖に接し、木材を中心に天然資源が豊富な地域である。民族構成はモンゴル系のブリヤート人のみならず、ロシア人、ウクライナ人、トルコ系のタタール人など、様々な民族が暮らす。そのため、街中を歩いているとしょうゆ顔のアジア人もいれば、彫りの深い白人もいるし、その両方の血を引く人もいる。

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執筆者プロフィール
徳永勇樹(とくながゆうき) 食客/東京大学先端研創発戦略研究オープンラボ(ROLES)連携研究員。1990年7月生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。英語・ロシア語通訳、ロシア国営放送局スプートニクのアナウンサーを経て、2015年三井物産株式会社入社。4年半の鉄鋼製品海外事業開発、2年間のイスラエル留学を経て、社内シンクタンク株式会社三井物産戦略研究所にて政治経済の分析業務に従事。商社時代に担当した国は計100か国以上 。2024年7月末に退職しプロの食客になる。株式会社住地ゴルフでは、一切の業務が免除、勤務地・勤務時間自由という条件のもと、日本と世界の文化研究に専念する。G7及びG20首脳会議の公式付属会議であるY7/Y20にも参加。2016年Y7伊勢志摩サミット日本代表、2019年Y20大阪サミット議長(議題: 環境と経済)、Y7広島サミット特使を務めた。新潮社、ダイヤモンド社、文芸春秋社、講談社、The Mainichiなどで記事を執筆。2023年、言語通訳者に留まらず、異文化間の交流を実現する「価値観の通訳者」になるべくCulpediaを立ち上げた。
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