大規模災害対策を革新できるか:国交省「流域治水」プロジェクト

IN-DEPTH【ニュースの深層】

2021年9月6日
タグ: 日本
佐賀県武雄市の六角川が氾濫し冠水した住宅地(2021年8月14日撮影:佐賀県提供) ⓒ時事
全国で洪水が発生する頻度は、100年間で倍増するとの試算もある。ダムなど「巨大構築物による治水」が限界を迎える中、ハザードマップ作成や貯水施設を備えた民間ビルへの税減免など、ソフト面の整備も含めた総合的な「流域治水」への政策転換が急ピッチで進められている。

 毎年のように「数十年に一度」や「観測史上初」と表現される大雨が全国で発生し、大きな被害をもたらしている。記憶に新しいところでは、2015年(平成27年)9月に台風18号が関東・東北地区を通過し、記録的な大雨となって鬼怒川が決壊し多くの家屋が浸水したこの時は「100年に一度の大雨」と伝えられた。

 こうした水害に対して国土交通省は、気候変動による豪雨で、従来の堤防やダムで対応しきれない水害が多発していることから、自治体や企業、住民が協働して河川の流域全体で治水力を高める「流域治水」という政策を打ち出している。

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