会社を滅ぼすエンジニアマインドなき「営業畑社長」:リーダーに必須な「5つの資質」

執筆者:辻野晃一郎 2021年12月28日
いかに潜在的なニーズを掘り起こして「ハッピーサプライズ」を届けるか。ジョブズの発想は常にそこからスタートした   ©︎AFP=時事
スティーブ・ジョブズは営業出身のマイクロソフト経営者スティーブ・バルマーを「つまらない」と切り捨てた。営業畑“だからダメ”だと決めつけるのは無意味だが、途轍もない勢いで変わり続ける社会にエンジニアの資質が不可欠な理由は深く認識する必要がある。

   前回は、マイクロソフト復活のカギが「グロースマインドセット(Growth Mindset)」の醸成にあったことを指摘すると共に、企業の盛衰についてそのライフサイクルと絡めて論考した上で、日本企業の凋落や産業競争力の弱体化について総括した。今回は、企業の活力と経営リーダーの資質について考えてみたい。

スティーブ・ジョブズの「営業嫌い」

   米アップル共同創業者の故スティーブ・ジョブズは生前「マイクロソフトを見てごらん。会社を仕切っているのは営業畑出身のスティーブ・バルマーだろう? だからつまんないんだよ」と言っていたという(『アップル創業者ジョブズが「営業出身の社長はつまらない」と切り捨てた理由』ダイヤモンドオンライン2021年12月12日)。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
辻野晃一郎(つじのこういちろう) 福岡県生まれ。アレックス株式会社代表/グーグル日本法人元代表。1984年に慶応義塾大学大学院工学研究科を修了し、ソニーに入社。88年にカリフォルニア工科大学大学院電気工学科を修了。VAIO、デジタルTV、ホームビデオ、パーソナルオーディオ等の事業責任者やカンパニープレジデントを歴任した後、2006年3月にソニーを退社。翌年、グーグルに入社し、グーグル日本法人代表取締役社長を務める。2010年4月にグーグルを退社し、アレックス株式会社を創業。現在、同社代表取締役社長兼CEOを務める。2012年4月~2017年3月早稲田大学商学学術院客員教授、2013年10月~2016年8月 内閣府高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)規制制度改革分科会メンバー、2016年6月~2018年9月 神奈川県ME-BYOサミット神奈川実行委員会アドバイザリーメンバー。2017年8月より株式会社ウェザーニューズ社外取締役。著書に、『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』(2010年 新潮社、2013年 新潮文庫)、『成功体験はいらない』(2014年 PHP ビジネス新書)、『リーダーになる勇気』(2016年 日本実業出版社)、『「出る杭」は伸ばせ!なぜ日本からグーグルは生まれないのか?』(2016年 文藝春秋社)、『日本再興のカギを握る「ソニーのDNA」』(2018年 講談社)。
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