「ミスを嫌う人」ばかりが幹部に残る企業の致命的「マインドセット」

執筆者:辻野晃一郎 2021年11月29日
エリア: 北米
ナデラはCEOとして過去の成功体験をことごとく否定するという難題に取り組んだ   ©︎EPA=時事
どれほど活気溢れるスタートアップ企業もいずれ失速する時が来る。クラウド時代に乗り遅れ、社内抗争に明け暮れていた「衰退期」のマイクロソフトを復活させたのは、現CEOサティア・ナデラによる「グロースマインドセット」の徹底だった。

   前回は、グーグルの社員たちが実際どのような働き方をしているのかについて紹介した。今回は、企業の盛衰についてそのライフサイクルと絡めて論考するとともに、日本企業の凋落や産業競争力の弱体化について総括してみたい。

マイクロソフトを復活させた「グロースマインドセット」

   企業の浮沈は世の常だが、そこにはビジネススクールの教材になるような多くの学びが存在する。最近、時価総額が300兆円に迫り世界一となったマイクロソフトをGAFAに加えて「GAFAM」と括り直した表記をよく目にするようになったが、マイクロソフトの復活も世界の経営者たちにとって格好の教材の一つだろう。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
辻野晃一郎(つじのこういちろう) 福岡県生まれ。アレックス株式会社代表/グーグル日本法人元代表。1984年に慶応義塾大学大学院工学研究科を修了し、ソニーに入社。88年にカリフォルニア工科大学大学院電気工学科を修了。VAIO、デジタルTV、ホームビデオ、パーソナルオーディオ等の事業責任者やカンパニープレジデントを歴任した後、2006年3月にソニーを退社。翌年、グーグルに入社し、グーグル日本法人代表取締役社長を務める。2010年4月にグーグルを退社し、アレックス株式会社を創業。現在、同社代表取締役社長兼CEOを務める。2012年4月~2017年3月早稲田大学商学学術院客員教授、2013年10月~2016年8月 内閣府高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)規制制度改革分科会メンバー、2016年6月~2018年9月 神奈川県ME-BYOサミット神奈川実行委員会アドバイザリーメンバー。2017年8月より株式会社ウェザーニューズ社外取締役。著書に、『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』(2010年 新潮社、2013年 新潮文庫)、『成功体験はいらない』(2014年 PHP ビジネス新書)、『リーダーになる勇気』(2016年 日本実業出版社)、『「出る杭」は伸ばせ!なぜ日本からグーグルは生まれないのか?』(2016年 文藝春秋社)、『日本再興のカギを握る「ソニーのDNA」』(2018年 講談社)。
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