米中「相互確証破壊」時代は到来するか――中国のプルトニウム生産見込みと核軍拡

執筆者:小林祐喜 2023年5月3日
タグ: 中国 習近平
エリア: アジア 北米
米国のほぼ全域を射程に収める中国の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「東風41」 (C)時事
中国における高速増殖炉の稼働には、そこで生成されるプルトニウムの軍事転用の懸念が付きまとう。急速に拡大される核物質の製造能力から、米国との間で「勢力均衡」を追求し始めた中国の核戦略の変化が窺える。

 

 米国との勢力均衡を目指し、中国が核軍拡を本格化させている。米国防総省が毎年議会に提出している中国の軍事動向に関する報告書の2020年版は、「現在200発台前半と見込まれる中国の核弾頭数は2030年までに少なくとも2倍に増える」と指摘した。この核弾頭数について、同報告書2021年版では「2030年までに1000発に至る可能性」、2022年版では「2035年までに1500発に至る可能性」と、予測が大幅に引き上げられた[1]

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カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
小林祐喜(こばやしゆうき) 笹川平和財団研究員。1972年生まれ、関西学院大学法学部政治学科卒業。河北新報社入社。報道部経済班などを経て2007年退社。13年フランス・ストラスブール政治学院で国際関係論、14年同・レンヌ政治学院で公共政策論の修士課程修了。15年パリ高等鉱業大学院博士課程。19年「福島第一原発事故の危機対応における政治と科学の関係」で博士号を取得。同年7月より、現職。近著は「核不拡散に貢献する原子力技術と次世代炉」月刊『公明』4月号。
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