新たなスパイ戦争、中露のルール

Foresight World Watcher's 3Tips

執筆者:フォーサイト編集部 2023年7月21日
エリア: アジア ヨーロッパ
(C)Jakub Krechowicz / shutterstock.com

 

 今週もお疲れ様でした。

 本誌の名物連載コーナー「インテリジェンス・ナウ」の筆者、春名幹男氏は、本日公開の最新記事『米情報機関がロシアの機先制す:「ウクライナ」でプーチンに警告したCIA長官』で、「バイデン米政権の外交安保チームでは今や、バーンズCIA長官がキーマンのようだ」と指摘しています。

 バーンズ長官はロシアによるウクライナ侵攻前にモスクワを訪れ、プーチン大統領に強烈なメッセージを伝えたのみならず、サウジアラビア、中国といった外交の機微にかかわるテーマでもバイデン大統領やブリンケン国務長官に先駆けて相手国を訪問。その存在感が際立ちますが、一方でロシアと中国の諜報活動はどうなのか。話題の新著を上梓したコルダー・ウォルトンの論稿ほかを紹介します。

 フォーサイト編集部が週末に熟読したい記事、皆様もよろしければご一緒に。

 

The New Spy Wars【Calder Walton/Foreign Affairs/7月19日付】

 米「フォーリン・アフェアーズ(FA)」誌サイトに7月19日付で登場した「新たなスパイ戦争」が注目を集めている。同サイトの「最も読まれている記事」ランキングでは21日午前0時時点(米東部標準時)で1位となった。

 筆者は米ハーバード大ケネディ・スクール科学・国際問題ベルファー・センターのアシスタント・ディレクター、コルダー・ウォルトン。6月に新著『Spies: The Epic Intelligence War Between East and West』(書誌情報は後述)を上梓したばかりの彼が今回FA誌で論じているのは、冷戦終結後のロシアと中国の諜報活動についてだ。

「冷戦は終結しなかった。少なくとも、ロシアの[ウラジーミル・]プーチン大統領はそう考えている。ソビエト連邦が崩壊した後も、クレムリンが西側諸国に対する巨大な闘争を続けていることを最も明確に示しているのは、ロシアの治安・情報機関の活動だ」
「中国もまた、冷戦の結果を覆そうとしている」「習近平が政権を握って以来、特に西側諸国と米国に対する中国の情報攻撃は飛躍的に増大した。中国情報機関の使命は、習近平の壮大な戦略を実行することである。中国を世界一の軍事・経済大国にすること、そして既存の技術的状況を逆転させ、他国を米国の技術ではなく中国の技術に依存させることだ」

 ウォルトンによれば、ロシアは1990年代も米国への諜報活動を続けており……

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