中国「仲介外交」が浸透して行く国際秩序の虚実皮膜(2023年 第Ⅱ号‐1)

中東ではすでに、アメリカへの信頼が大きく損なわれたことが前提の動きが目立っている[北京でイラン最高安全保障委員会のシャムハニ事務局長(右)と握手する中国の王毅・共産党政治局員(中央)、同席したサウジアラビアのアイバーン国務相=2023年3月9日、中国・北京](C)AFP=時事/HO/NOURNEWS
サウジとイランの国交正常化を引き寄せるなど、中国「仲介外交」の成果は少なくない。ただし、その影響力は多くの場合、アメリカの影響力低下の反作用として生まれている。米同盟国が準備せざるを得なくなった新たな「プランB」として、あるいはグローバル・サウス諸国が大国間競争の余波を躱すヘッジング戦略の帰結として、国際秩序をめぐる現実と思惑の境界領域でこの外交は展開される。(2023年 第Ⅱ号‐2〈中国の背を押す西側「デリスキング」の揃わぬ足並み〉はこちらからお読みになれます)

 

1.グローバルに影響力が拡大する中国

■中国「仲介外交」はどう評価されたか 

 現在中国は、ウクライナでの戦争が続く中で、外交活動を活発化させて自らのグローバルな影響力の拡大を試みている。たとえばそれは、2023年2月21日に中国外交部が発表した「グローバル安全保障イニシアティブ(Global Security Initiative)」の構想に現れている[「全球安全倡议概念⽂件(全⽂)(グローバル安全保障イニシアティブ概念に関する⽂書)」、中华⼈⺠共和国外交部、2023年2⽉21⽇]。そこでは、中国が「共通・総合・協調・持続可能な安全保障観を堅持」することが掲げられており、またさらには「各国の主権及び領土的一体性の尊重の堅持」の重要性が論じられている。

 平和へ向けた中国外交の攻勢は、中東やアフリカなどの地域において活発に示されている。

 上海外国語⼤学中東研究所教授の丁隆は、『環球時報』の論稿において、サウジアラビアとイランの国交正常化に際して中国が果たした仲介的な役割を礼賛する[丁隆(Ding Long)「沙伊北京对话,全球安全倡议的成功实践(サウジアラビアとイランの北京会談は、グローバル安全保障イニシアティブの成功例となった)」、『环球⽹』、2023年3⽉11⽇]。2023年3月10日に、それまで中国で4日間にわたって非公式協議で進められていたサウジアラビアとイランとの間の国交正常化の協議が、合意に帰結した。丁隆はこれを、「グローバル安全保障イニシアティブの成功例」として賞賛する。すなわち、「サウジアラビアとイランの北京での会談で成果が出たことは、両国だけでなく中東と世界の平和にとって喜ばしいことである」。

 昨年12月に習近平国家主席は、サウジアラビアを国賓として訪問していた。さらには、イランのエブラヒム・ライシ大統領が今年の2月14日に北京を公式訪問し、習近平主席と会談を行っている。それゆえ、「サウジ、イラン両国の北京での対談は、中国の真剣な態度が信頼を得たということ」であり、また「これは、グローバル安全保障イニシアティブの成功例であると言える」。さらに次のようにも論じている。「サウジアラビアとイランの対立が、中国の仲介により解消されたことは、グローバル安全保障イニシアティブに先見の明があり、対立を解消するための役割を果たしていることを意味する」。

 それでは、「仲介外交」への中国国内での自画自賛は、国外ではどのように報じられ、どのように評価されているのだろうか。

 シンガポールの中国語系新聞である『連合早報』の社説では、中東情勢の将来の見通しの流動性を指摘しながらも、中国の仲介外交を一定程度肯定的に評価している[社论:沙伊和解牵动中美外交布局(社説:サウジアラビアとイランの和解が⽶中対⽴の局⾯に変動をもたらす)」、『連合早報』、2023年3⽉13⽇]。イスラエルへの関与に偏重するアメリカの影響力が現在の中東では限定的となっており、それゆえイスラエル自らも北京での影響力を強める努力をしている。また同社説は、サウジアラビアとイランの将来の関係が依然として流動的であることを前提にしながらも、中東で中国の影響力が拡大する見通しを示す。米中対立がより多くの地域で世界大に展開している現状と、中国の影響力拡大が米中関係に及ぼす影響とを冷静に論じている。

 他方で、中東情勢に詳しいカレン・エリオット・ハウスは、『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙にこのサウジアラビアとイランの国交正常化に関連した記事を寄せている。そして、中国の仲介外交によって合意が実現したことを「衝撃だ」と記している[Karen Elliott House, “Behind Chinaʼs Mideastern Diplomacy(中国による中東外交の裏側)”, The Wall Street Journal, March 12,2023]。

 ハウスによれば、「より衝撃的なのは、いずれも中東での戦争が自らの大いなる野望を妨げ得ると懸念を抱いている、中国とサウジアラビアとの間の協力である」。というのも、「ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は2030年までに、サウジを世界の主要国へと変貌させる決心をしており、他方で習近平国家主席は世界の超大国たる米国に取って代わろうとしている」からだ。

 さらに、ハウスは「この地政学的変化は、10年にわたって米国のリーダーシップが低下してきた帰結である」ことの重要性に言及する。確かに、中国がそのような役割を担うことができた背景として、オバマ政権やトランプ政権がこの地域におけるアメリカの関与を縮小してきたことが指摘できる。他方で、これもハウスが論じるように、おそらく「中国は、自らが中東の警察となることを望んでいない」。むしろ、中東の石油供給に依存する中国が、この地域での地政学的なリーダーシップを強化しながら、さらに中東紛争のリスクを低下させて、インド太平洋での米中対立を自らにより有利に展開することが目的であろう。

『連合早報』とハウスいずれの論稿でも、必ずしも中国の仲介外交を手放しで賞賛することはなく、またサウジアラビアとイランの国交正常化後の外交関係を楽観しているわけではない。だが、アメリカの中東での影響力低下が、このような中国の行動の余地を拡大していることは看過できない現実であろう。

 それでは、アメリカの国際的影響力の低下が指摘される現実を、中国はどのように観ているのか。

■米同盟国の「プランB」と中国の「自負」

 中国国際問題研究院アメリカ研究所所長の沈雅梅は、「アメリカ外交の失敗例の増加の本質はどこにあるのか」と題する『環球時報』の論稿のなかで、その原因が「時代錯誤の覇権主義にある」と指摘する[沈雅梅(Shen Yamei)、「美国外交失利增多的症结在哪(アメリカ外交の失敗例の増加の本質はどこにあるのか)」、『环球⽹』、2023年3⽉16⽇]。

 沈雅梅によれば、今世紀に入ってからアメリカ外交の成功例は減少し、失敗例は増えているという。すなわち、トランプ主義の流行、アフガニスタンからの撤退、ウクライナ危機、イラン核合意交渉の停滞などが、その顕著な失敗例といえる。「アメリカはもはや、世界で唯一の仲裁者ではない」のだ。

 そして沈雅梅は、主要な問題はアメリカの一国覇権主義的な、「十字軍的行動」にあると指摘する。「アメリカ外交はゼロサム思考により、常に拡張主義的、対抗的な性格を帯びている」「このように、やり方が強引であれば、求心力はなくなるだろう」。またアメリカ国内では政治の分極化が進み、貧富の差が拡大し、政権交代により外交の一貫性と信頼性が欠落するとも述べている。このように、アメリカが国際的な影響力を低下させる中で、中国がそれに代わって国際的に指導的な地位に立つべきだと自負する論稿が、中国で近年増えていることは一つの傾向といえるだろう。

 中東研究を強みとするアメリカの独立系シンクタンクのニューライン研究所に所属する、中央アジアを研究するユージン・ショーソヴスキィの論稿は、積極化する中国の外交を理解する上で有益である[Eugene Chausovsky, “China Is Studying Russiaʼs Economic Playbook for Conflict(中国はロシアの経済戦略を研究し、紛争に備えている)”, Foreign Policy, April 14, 2023]。

 ショーソヴスキィは、ロシアによるウクライナ侵攻から中国が得られる最も重要な教訓は、侵略国への米国主導の対抗措置に、中国が経済および外交の領域でどのように応ずべきかにあるという。その上で、中国はその教訓を、台湾に圧力をかける際に応用するだろうと予測する。

 より具体的には、「中国が台湾に侵略する場合、最低限中立となる国を複数確保することが有効であることが明らかになった」のであり、「中国はすでにこの試みを始めており、『一帯一路』構想を推進し、イランやサウジ、ロシアなどと関係を強化している」。中国がこうした国々と関係を強化しているのは偶然ではない。台湾はサウジから石油を、ロシアからは天然ガスを輸入している。だとすれば、「中国はこのような台湾が依存している諸国を使って、圧⼒をかけてくるかもしれない」。

 世界におけるアメリカの影響力低下は、同盟国を不安にさせている。アメリカの著名な外交コラムニストのウォルター・ラッセル・ミードが『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙に寄せた論稿の中で、そのような見解が示されている。ミードは、日本経済新聞のコメンテターである秋田浩之との対話を振り返って、アメリカの同盟国が「プランB」を検討するようになっているという秋田の指摘を紹介する[Walter Russell Mead, “America Shrugs, and the World Makes Plans(アメリカは肩をすくめ、世界は計画を⽴てる)”, The Wall Street Journal, March 27, 2023]。すなわち、冷戦後のアメリカ主導の秩序のなかでは、ドイツや日本にとって低コストで平和と繁栄を享受できる好ましい国際システムを維持するための選択肢が、いわば「プランA」であった。他方で、後退するアメリカの影響力を補完するために同盟国がより大きな役割を担うことが、「プランA+」であろう。だが、中国やロシアの脅威が拡大し、アメリカの行動がより予測不可能となり、信頼ができなくなるとすれば、これまでとは異なる選択肢として、新たな「プランB」を考慮しなければならなくなるだろう。

 ミードは、中東ではすでに「プランB」への移行が始まっており、一部の諸国はロシアとエネルギー政策で協力し、さらにはイランやシリアとの関係を回復させる中で中国に接近しているという。その一つの帰結が、サウジアラビアとイランとの外交関係を強化して、両国の国交正常化を仲介した、中国の外交活動であった。このままアメリカの信頼が低下すれば、世界のより多くの諸国が「プランB」に傾斜して、中東同様の傾向が見られるようになるであろう。

■グローバル・サウス諸国のヘッジング戦略

「グローバル・サウス」という言葉が広く世界で浸透していくと同時に、アメリカ主導の国際秩序がいまや大きく揺らぎ、修正が求められている。

 ジェトゥリオ・ヴァルガス財団サンパウロ校教授で、国際関係が専門のマティアス・スペクターは、『フォーリン・アフェアーズ』誌に寄せた「中立的態度を擁護する」という論稿のなかで、多極化する世界の中で大国間競争に巻き込まれないように、グローバル・サウス諸国がヘッジング戦略を選択する現実を解説する[Matias Spektor, “In Defense of the Fence Sitters(中立的態度を擁護する)”, Foreign Affairs, May/June 2023]。

 スペクターによれば、グローバル・サウス諸国がロシア・ウクライナ戦争で明確な立場を決めることを避けているのは、経済的利益の確保や中ロとのイデオロギー的連帯というよりも、単純に米中ロの諍いに巻き込まれたくないという理由があるからだ。行動の自由を求め、不確定な将来に備えて多様なオプションを用意するグローバル・サウス諸国のそのような論理が、欧米諸国の中では適切に理解されていない。ただしスペクターは、このような国々は自動的に西側世界に追従することは避けながらも、中ロ両国への失望も拡大させていることを強調する。むしろ、アメリカにとっては新たな機会が拡大していると見ることも可能なのだ。

 ロシアや中国の国際的な信頼が後退しているという指摘は、適切なものといえそうだ。韓国の元外交通商相の尹永寛(ユン・ヨングァン)が『プロジェクト・シンジケート』に寄せた論稿によれば、米中対立の構図の中で近隣諸国をいじめ、自らの要求を強引に通そうとする中国の行動は、失敗を続けている。のみならず、民主主義諸国がアメリカを中心に結束を強めて、中国に対抗する反中連合のような枠組みを構築することを推進している格好だと述べる[Yoon Young-Kwan, “How China Lost Asia(中国はどのようにアジアを失うのか)”, Project Syndicate, March 15, 2023]。

 とりわけ、韓国やオーストラリアではそのような傾向が色濃く見られる。韓国においては、2016年のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備の決定を受けて中国が韓国に過度な経済制裁を加えたことが韓国国民の対中認識悪化を招き、現在の尹政権もそのような世論を踏まえて、アメリカや日本との関係強化を進めようとしている。確かに、現在の韓国保守政権の対日および対米接近を、そのような視点から理解することも可能であろう。

 他方で、アメリカなどの西側諸国のアプローチにも問題がないわけではない。このような視点を提示するのが、ブラジルのABC連邦大学の准教授であるジョルジョ・ロマーノ・シュッテによる「西側の終わり」と題する挑発的な論稿だ[Giorgio Romano Schutte, “Das Ende des Westens(⻄側の終わり)”, Journal für Internationale Politik und Gesellschaft, April 18, 2023]。すなわち、ブラジルをはじめとするいわゆるグローバル・サウスの国々は、NATO(北大西洋条約機構)を中心とする西側諸国に盲目的に追随するつもりはない。ウクライナでの戦争は、欧州諸国の指導者たちが非西欧諸国、いわゆるグローバル・サウスの見解や期待を理解していないことを露呈し、それらの諸国はNATOやアメリカが掲げるナラティブや政策に盲⽬的に従うことはないであろう。というのも、NATOやアメリカが、国際社会での共通の声を代弁しているわけではないからだ。

 シュッテによれば、ドイツにとってのウクライナでの戦争が「転換(Zeitenwende)」を意味するとしても、グローバル・サウス諸国にはそうではない。グローバル・サウス諸国が自らの意見を持つことを米欧が批判するという道徳的な傲慢さは、懐疑的に捉えられるべきことだとされる。昨今の出来事は飢餓や貧困、環境問題、そしてパンデミックなどに対して適切な国際協力が必要なのだという認識をグローバル・サウスの国々に強く印象づけた。この全体的な文脈においては、中国は発展途上の多くの国々の最も有効なパートナーであり、ロシアは大した問題ではない。シュッテの西側中心の世界は終わったとする観点に立てば、ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルヴァ大統領が中国を訪問して、西側諸国のウクライナへの武器供与を批判した論理は、より的確に理解できよう。

 結局のところ、国際社会の多くの諸国は、米中いずれに対しても様々な不満を抱いており、同時にその双方と緊密な関係を構築することが国益と考えているのだろう。そのような現実を前提にするならば、従来論じられてきたような中国との「デカップリング」を実現することは容易ではなく、むしろ対中関係でのリスクを極小化した上でより健全な関係を構築する「デリスキング」がより重要となる。

 フィナンシャル・タイムズ副編集長のフィリップ・スティーブンスは、アメリカ国内でどれだけ対中強硬派が声を上げても、実際にはバイデン政権が北京との経済関係を断ち切ることはないと想定する[Philip Stephens, “Decouple or de-risk? The United States and Europe are converging on China(「デカップリング」か「デリスキング」か? ⽶欧は対中政策を巡り収斂していく)”, Inside-Out, political commentary from Philip Stephens, April 2, 2023]。

 またスティーブンスによれば、EU(欧州連合)もNATOも中国を「ライバル」「挑戦」として見るようになっているが、それは対中経済関係を断念することを意味しない。つまりアメリカとヨーロッパの対中政策は、「デリスキング」戦略に象徴されるように、一つの方向性に収斂しつつある。中国の外交官たちが続けてきたアメリカとヨーロッパを分裂させる工作は、明らかに失敗したというスティーブンスは捉えている。そして実際、米欧間での対中戦略の収斂が、好ましいことであるのは間違いない。

 他方で、中国も必ずしもアメリカやヨーロッパとの関係を一方的に悪化させることを望んでいるわけではない。そのことは、たとえば中国を代表する国際派で知米派の国際政治学者、賈慶国北京大学教授の『環球時報』での論稿にも示されている[賈慶国(Jia Qingguo)「在美国,希望改善对华关系的⼤有⼈在(アメリカには⽶中関係の改善を希望する⼈々が多くいる)」、『环球⽹』、2023年3⽉15⽇]。

「アメリカには米中関係の改善を希望する人が多くいる」と題するこの論稿では、コロナ禍で米中間の人的な交流が大幅に減り、アメリカではこの数年間、SNSで誘導される一部の政治家やメディアの偏った見解が人々の間に広まったとする。他方で、コロナ禍が収束して賈慶国自らがアメリカを訪問してさまざまな会合に参加した結果、アメリカには米中関係の改善と安定化を望む人が多くいることを知ったという。

 それゆえ、米中関係を健全な発展の軌道へと戻すことが可能なはずだ。同時に、民間交流が重要になる中で、中国の学者がより積極的に海外へと訪問し、とりわけ若手の中国人研究者が対外交流を増やす必要があると賈慶国はいう。欧米の政治家やメディアが中国への誹謗中傷を続ける中で、中国の学者が中国の実像を話し、伝えることが重要だと指摘する。

 同様に、世界的に著名な中国人の国際政治学者である王緝思北京大学教授は、アメリカの戦略国際問題研究所(CSIS)のスコット・ケネディーとの、「米中は対話しなければならない」と題する『フォーリン・アフェアーズ』誌に寄せた共著論文の中で、これまで以上に対面で対話し、相手国を訪問することが重要だと述べている[Scott Kennedy and Wang Jisi, “America and China Need to Talk: A Lack of Di-alogue, Visits, and Exchanges Is Raising the Risk of Conflict(⽶中は対話しなければならない―対話や訪問、交流の不⾜は紛争のリスクを⾼める)”, Foreign Affairs, April 6, 2023]。今や、米中関係は国交正常化以降、最悪な状況に陥ってしまい、世界中の政府関係者や有識者がこの両国が単に冷戦に留まるのではなく、熱戦へと突き進んでいくのではないかと王とケネディは懸念している。また、この3年間で両国内での相互の認識が急激に悪化し、米中関係悪化の原因が相手にあり、相手の行動は非合理的で攻撃的だと互いに考えるに至ったという。

 さらにこの論稿では、中国の政策コミュニティはNATOの東方拡大がロシアのウクライナ侵略を動機付けたと見なすと同時に、彼らの多くがロシアを支持する習近平政権の政策にも批判的だとの興味深い指摘もなされている。また、ウクライナへの過度の関与・支援強化が中国を台湾侵攻に走らせるのではないかという一部の米有識者の懸念を踏まえつつ、中国側はウクライナ戦争によってむしろ抑制的な行動を示すようになったとの議論も展開される。

 確かに、米中両国は相互の理解が十分ではないがゆえに対立と緊張を高めてしまっている部分もあろう。両国は相手国の学生、研究者、企業関係者、ジャーナリストの自国訪問を歓迎するべきであり、それらの活動を保障しなければならない。 (「2023年 第Ⅱ号‐2」へ続く)

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
API国際政治論壇レビュー(責任編集 細谷雄一研究主幹)(エーピーアイこくさいせいじろんだんれびゅー)
米中対立が熾烈化するなか、ポストコロナの世界秩序はどう展開していくのか。アメリカは何を考えているのか。中国は、どう動くのか。大きく変化する国際情勢の動向、なかでも刻々と変化する大国のパワーバランスについて、世界の論壇をフォローするアジア・パシフィック・イニシアティブ(API)の研究員がブリーフィングします(編集長:細谷雄一 研究主幹 兼 慶應義塾大学法学部教授)。アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)について:https://apinitiative.org/
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