【Explainer】行き詰まるセルビア-コソボ関係正常化――コソボ独立宣言から15年を経てなお膠着が続く理由

「欧州の火薬庫」バルカン半島にも緊張が高まっている[銃撃事件発生後、警備に当たる警察官たち=2023年9月24日、コソボ・ズヴェカン村付近](C)REUTERS/Ognen Teofilovski
摩擦の背後に何があるのか?
[ロイター]2008年2月17日、アルバニア系住民が多数を占めるコソボは、10年近いゲリラ闘争を経てセルビアの支配を逃れ、独立宣言した。これは100以上の国によって承認された。だが、公式にはセルビアはコソボ独立を認めず、未だ自国領土であると主張し、コソボ政府がセルビア系住民の権利を蹂躙していると非難している。一方、セルビアがコソボ国内での対立を煽っているとの批判は否定する。
コソボの人口は180万人のうちセルビア系住民は全体の5%、アルバニア系は90%だ。コソボ北部に暮らす約5万人のセルビア人は光熱費をコソボ政府に納めることを拒否し、逮捕しようとする警官を攻撃している。そしてセルビアの国家予算の恩恵を受ける一方、セルビア政府にもコソボ政府にも税金を払っていない。
何が事態を悪化させているのか?
今年4月、セルビア系住民がボイコットした地方選挙で、コソボ北部の自治体にアルバニア系市長が複数誕生した。これをきっかけに地域の緊張が高まり、アメリカと同盟国はこの展開に関してコソボ政府を非難した。
昨年12月、コソボ北部のセルビア系住民たちは、障害物を作って道路を封鎖し、コソボの警察と銃撃戦を繰り広げた。きっかけは、過去のデモの際にセルビア人の元警官が現職警官に暴力を振るった疑いで逮捕されたことだった。
そもそもそれ以前から、……

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