Weekly北朝鮮『労働新聞』 (51)

「地方発展20×10政策」について連日報道(2024年2月4日~2月10日)

執筆者:礒﨑敦仁 2024年2月13日
タグ: 北朝鮮 金正恩
エリア: アジア
朝鮮人民軍創建76周年に際して娘を伴い国防省を訪問した金正恩国務委員長(『労働新聞』HPより)
2月8日の朝鮮人民軍創建日に、金正恩国務委員長は娘を伴って式典に出席した。対外関係では韓国・尹錫悦政権への非難を続ける一方、内政では、年始に示された地方振興に関する10カ年計画「地方発展20×10政策」について連日報道している。『労働新聞』注目記事を毎週解読
 

 2月9日付は、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が朝鮮人民軍創建76周年に際して8日に国防省を訪問したことを報じた。そこで行われた演説では、韓国を「不変の主敵」と述べるなど最近の主張を繰り返したほか、軍が「祖国保衛と社会主義建設の2つの戦線」で貢献していることを称えた。祝賀公演と祝宴も催され、金正恩はいずれも「尊敬するお子さま」と出席した。なお、本連載では朝鮮語の「チェジェブン」(子弟の方)を「お嬢さま」と訳してきたが、もともと性別を区別する単語ではないため、今回から「お子さま」と表記する。

 昨年末の朝鮮労働党中央委員会全員会議拡大会議と先月15日の最高人民会議において対韓政策の転換が明示されてからも、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権に対する非難は続いている。6日付第6面には「傀儡逆徒の退陣を要求する第76回ロウソク大行進開催」と題する記事が10枚ほどの写真とともに掲載された。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
礒﨑敦仁(いそざきあつひと) 慶應義塾大学教授。専門は北朝鮮政治。1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロー・ウィルソンセンター客員研究員など歴任。著書に『北朝鮮と観光』(毎日新聞出版)、共著に『最新版北朝鮮入門』(東洋経済新報社)など。
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