
コンサート会場「クロッカス・シティ・ホール」での銃撃事件後、警備強化のため閉鎖された赤の広場を歩く警察官=2024年3月23日、ロシア・モスクワ (C)REUTERS/Shamil Zhumato
[ロンドン発/ロイター]イスラム国は現在までに133人が死亡した銃乱射の犯行声明を発表し、実行犯とするISの戦闘員4人の写真を公開した。ISは、2015年のシリア内戦でバッシャール・アル=アサド大統領側に立って介入したロシアを攻撃する強い動機を持っている。
ロシアは、テロ事件の背景についての見解を示していないが、犯人たちはウクライナと接触していたと、根拠は示さずに述べている。犯人たちは車で逃走し、数時間後にウクライナ国境付近で捕まったという。ウクライナはいかなる関与も強く否定している。
チェコの安全保障専門家で、インド、ケニア、ロシアなどで過去に起きたイスラム教徒の襲撃事件を研究しているアダム・ドルニク氏は、ISの犯行声明は信憑性があると語った。銃で武装した集団による襲撃は、近年のISとアルカイダの典型的な手口だというのがその理由だ。
エジプトのリゾート地シャルムエルシェイクからサンクトペテルブルクに向かうロシアの航空機が爆破墜落した2015年の事件や、2022年にアフガニスタンの首都カブールで発生したロシア大使館への自爆攻撃など、過去にもISが関与したと見られるロシアへの攻撃は例がある。今月初め、ロシア連邦保安庁(FSB)は、ISの関連組織ISIS-Kによるモスクワのシナゴーグ襲撃を阻止したと発表した。こうしたことを総合すれば、ISによる攻撃であることは十分に考えられるとドニルク氏は指摘する。
トンネル・ビジョン
ただし、ドニルク氏は異例の要素にも注意を促した。それは、犯人たちの攻撃と逃走には、高度な計画性と連携が窺えることだ。……

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