6月会合で日本銀行が選択した円安抑制“プランB” は何を狙うか

執筆者:宮嶋貴之 2024年6月24日
円安をめぐる植田総裁の発言は1カ月半の間で大きく変わった[金融政策決定会合を終え記者会見する植田総裁=2024年6月14日](C)時事
6月13、14日に開かれた政策決定会合において、日銀は国債買い入れの減額方針を決めた。前回4月の決定会合後には総裁発言から円安が進む局面も見られたが、今回は円安による物価上振れや実体経済への悪影響の指摘に阿吽の呼吸を合わせた格好だ。ただ、現実的には国債買い入れ減額による円安抑制効果は限られると見られ、利上げへの道もなお遠い。米国の利下げが始まるまでは、タカ派的スタンスが醸成するバイアスを頼みに円安と向き合う日銀の悩ましい日々が続くのではないか。

 2024年6月の金融政策決定会合において、日本銀行(以下、日銀)は国債買い入れの減額方針を決定した。次回7月会合までの間に債券市場参加者会合を開催してヒアリングを実施し、今後1~2年間の減額計画を策定し、7月会合で発表する運びとなった。

 筆者は、今回の決定の背景には、日銀が金融政策による円安対応を迫られたことがあるとみている。言い換えれば、日銀は円安抑制策の“プランB”として、国債買い入れの減額をまず選択した印象だ。以下、今回の決定会合について考察してみたい。

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執筆者プロフィール
宮嶋貴之(みやじまたかゆき) ソニーフィナンシャルグループ株式会社金融市場調査部シニアエコノミスト。 2009年にみずほ総合研究所(当時)に入社。エコノミストとしてアジア・日本経済、不動産・五輪・観光等を担当。2011年~2013年は内閣府(経済財政分析担当)へ出向。官庁エコノミストとして『経済財政白書』、『月例経済報告』等を担当。2021年4月より現職。共著に『TPP-日台加盟の影響と展望』(国立台湾大学出版中心)、『キーワードで読み解く地方創生』(岩波書店)、『図解ASEANを読み解く』(東洋経済新報社)、『激震 原油安経済』(日経BP)がある。
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