Weekly北朝鮮『労働新聞』
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統一という「非現実的な認識」を払拭、「主体」年号も消える(2024年10月13日~10月19日)

10月17日、朝鮮人民軍第2軍団指揮部を訪問した金正恩国務委員長(C)AFP=時事
金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は、今年1月15日の施政演説で韓国を「第1の敵対国、不変の主敵」と定めるよう憲法改正を指示していたが、10月7日、8日の最高人民会議で行われた憲法改正がその点に及んだかどうかについては明らかにされていなかった。
対韓・統一政策について憲法が改正された事実は、意外な形で表面化した。10月16日に朝鮮中央通信社が「朝鮮民主主義人民共和国の南部国境の東・西部地域で大韓民国と連結された道路と鉄路を完全閉鎖」と題する記事を発表し、15日に南北連結道路と線路を爆破したことについて、「大韓民国を徹底的な敵対国家と規定した共和国憲法の要求」だと述べたのである。『労働新聞』では翌17日付第1面下段に掲載された。
爆破を前にした13日には「無謀な挑戦の客気は大韓民国の悲惨な終焉を早めるであろう」と題する金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党中央委員会副部長の談話が発表され、翌14日付の『労働新聞』1面トップにも掲載された。先立って『労働新聞』13日付の第1面下段には、12日の金与正談話「韓国軍部は重大主権侵害挑発の主犯または共犯の責任から免れるのは難しいであろう」が掲載されていた。最高指導者の本音を代弁しているものと考えられる金与正名義の談話が、国内向け媒体である『労働新聞』の第1面に掲載されたのは今回が初めてであり、韓国が主敵であることを国民に徹底させるための措置だと解釈できる。

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