Weekly北朝鮮『労働新聞』 (89)

「最終完結版ICBM」火星19の発射を3ページにわたって特集(2024年10月27日~11月2日)

執筆者:礒﨑敦仁 2024年11月5日
タグ: 北朝鮮 金正恩
エリア: アジア
発射には金正恩国務委員長の「お子さま」も立ち会った(C)AFP=時事
昨年12月18日以来となる10月31日のICBM発射は、大局的には兵器開発の進捗に合わせた実験だったと見られる。翌日の『労働新聞』は3ページにわたって実験の内容を詳細に説明した上で、今回の「火星19」が「最終完結版ICBM」であると位置づけた。【『労働新聞』注目記事を毎週解読】
 

 朝鮮中央通信は、10月31日朝にICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射した事実についての国防省代弁人発表を異例の速さで報じた。発射実験に立ち会った金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は、今回の発射は「意図的に地域情勢を激化させて共和国の安全を脅かしてきた敵どもに、われわれの対応意志を知らせることに徹底的に符合する適切な軍事行動」であり、「戦略的な攻撃兵力を不断に高度化している路程で必須の工程」だと説明付けた。示威活動であり、兵器開発の一環だということである。そもそもICBMは米国の「脅威」に対抗するためのものであるため、当然米国大統領選挙も意識した発射であったろうが、大局的には兵器開発の進捗に合わせた実験と考えるべきであろう。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
礒﨑敦仁(いそざきあつひと) 慶應義塾大学教授。専門は北朝鮮政治。1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロー・ウィルソンセンター客員研究員など歴任。著書に『北朝鮮と観光』(毎日新聞出版)、共著に『最新版北朝鮮入門』(東洋経済新報社)など。
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