[モスクワ発/ロイター]「今朝、7番バスは走っていなかった」。10月下旬のある日、ロシア・ウラル山脈スヴェルドロフスク地方のカメンスク=ウラリスキー市で、オルガ・スラティナはソーシャルメディアに投稿した。「配車係によると、運転士がいなかったせいだそうだ」。
たまたまその日、運転士は体調が悪かっただけかもしれない。だが、2022年2月にロシアがウクライナに侵攻して以降、悪化する働き手不足は生活のあらゆる面に影響を与えていると、企業も労働者も人材斡旋業者も役人も声をそろえる。
ロシア自身も西側諸国も、当初、ロシア経済は2022年に壊滅的打撃を受けるだろうと予想した。だが、軍事費が大幅に増大したことによって、この年の経済収縮は小規模で済み、翌2023年には持ち直した。ところが、いまやウラジミール・プーチン大統領は労働力不足が主たる経済課題であると認め、ロシアの労働生産性向上を重要な開発目標として掲げている。そして政府は女性により多くの子供を産むように奨励している。
多数の軍事工場があるスヴェルドロフスクでは10月はじめ、地域の労働局によると5万4912の求人があった。対して職を求めたのは8762人だった。モスクワを含むロシア西部を管轄し、約4000万の人口を擁するロシア中央連邦管区では、失業者ひとりに対して9つの求人があると、同区の大統領全権代表であるイーゴリ・シチョーゴレフは11月26日に語った。
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