【Analysis】トランプ関税を「ベネズエラ原油の購入国」に――米国が手にした強力な手段

2025年4月5日
タグ: トランプ
エリア: 北米 中南米
制裁対象を指定するよりも、関税の方が導入は容易だ[イランがベネズエラに売却した2隻目のアフラマックス型原油タンカー「MV Yoraco」=2022年6月8日、イラン・ブーシェフル沿岸](C)Reuters
トランプ米大統領が打ち出した「ベネズエラの原油や液体燃料を購入する国からの輸入に対して一律25%の関税を課す」との方針は、ロシアやイランなどにも適用可能であり、政権の貿易・外交政策において極めて強力な武器となりうる。ロシアをウクライナとの停戦合意に向かわせるための圧力として使う可能性も指摘される。

[ワシントン、ヒューストン発/ロイター]米国が制裁下にあるベネズエラの原油を購入する国に対して関税を課す計画は、地政学上の敵に対する前例のない、かつ有力なものとなり得る経済的制裁手段の組み合わせであり、ロシアやイランなど他国にも適用可能だと専門家は指摘している。

 米国はこれまで長年にわたり、この3カ国のエネルギー収入を制裁で抑え込んできたが、その制裁の手段としては、違反した個人や企業を米国の金融システムから排除するよう「指定」して執行するのが一般的だった。

 しかしトランプ大統領は3月24日夜、これまでの慣例を破り、1977年国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき、ベネズエラの原油や液体燃料を購入する国からの輸入に対して、一律25%の関税を課すことを政権に認める大統領令に署名した。

 専門家は、制裁違反に対する措置として「指定」ではなく関税を用いることで、少なくとも2つの利点があると指摘する。関税はその国の経済全体に痛みを与えることができ、また指定よりも導入が容易である。

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