ホルムズ「封鎖」で炙り出されるエネルギーの「弱い鎖」(1):迂回輸出に限界も/アジアには「需要破壊」の懸念

執筆者:豊田耕平 2026年3月27日
タグ: 日本
エリア: アジア
アジアの製品流通ネットワークが大きく混乱し始めている[横浜の石油ターミナルで給油するタンクローリー=2026年3月17日](C)AFP=時事
イランが行ったオマーンの港湾への攻撃について、アラーグチー外相は「我々の選択ではない」として、軍事組織が「独立し、ある程度分離されている」と言及した。こうした軍部の自律性は、ホルムズ海峡を通過する船舶にとって管理しきれない不確実性だ。市場はすでに、「事実上の封鎖」の長期化を織り込み始めた。迂回ルートによる原油輸出や各国の備蓄放出で一定の対応は可能でも、エネルギーのグローバルサプライチェーンにはいくつもの「弱い鎖」が潜んでいる。すでにアジアのグローバルサウス諸国には、深刻なストレスが生じ始めている。

 米国・イスラエルとイランとの戦争が開始された2月28日からわずか数日間で、中東産油国からインド洋に通じるホルムズ海峡は初めて「事実上の封鎖」状態に陥った。国際エネルギー機関(IEA)によると、2025年には世界の海上石油輸送の約25%、液化天然ガス(LNG)輸送の約19%がホルムズ海峡を経由して輸送されている。世界の石油ガス供給の大動脈の寸断は、ブレント原油価格を戦争前の1バレル当たり60ドル台から、一時的に120ドル近くまで押し上げることとなった。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
豊田耕平(とよだこうへい) JOGMECドバイ駐在員事務所/東京大学先端科学技術研究センター連携研究員。京都大学法学部卒業、東京大学公共政策大学院修了。2020年、(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(現エネルギー・金属鉱物資源機構、JOGMEC)入構、22年4月より現職。20年9月より東京大学先端科学技術研究センター(グローバルセキュリティ・宗教分野)連携研究員を務める。「JOGMEC 石油・天然ガス資源情報」ウェブサイトにおいて、中東・北アフリカ地域のエネルギー情勢に関するレポートを公表している。
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