饗宴外交の舞台裏 (144)

オバマ政権初の国賓歓迎会 インドが栄に浴したワケ

執筆者:西川恵 2010年1月号
エリア: 北米 アジア

 オバマ米大統領が就任後初めての国賓歓迎会をホワイトハウスで催した。十一月二十四日、その栄に浴したのはインドのマンモハン・シン首相。ホワイトハウスの庭で、両国関係者三百四十人を招いての絢爛豪華な宴がもたれた。 アジア歴訪を終えてわずか五日後、インド首相を国賓として迎えたのにはオバマ大統領の気配りがあった。歴訪では中国に四日間滞在する一方、インドには立ち寄らず、中国と張り合うインドにとって心穏やかでなかったはずだ(実際、インドでは「インドを犠牲にした訪中」と批判が上がった)。これを織り込んで、インド首相を初の国賓として迎えるべく日程を組んでいたのだ。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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