地域連合である「意味」が問い直されている――[ジャカルタ発]ASEAN(東南アジア諸国連合)が揺らいでいる。昨年四月、カンボジアが加盟してASEAN10が実現したことにより、「入るべき国はすべて加盟した」(外交筋)。つまり一大地域連合体の形を、表面上は整えたと言えるだろう。 しかし、先進国とも言えるシンガポールから超発展途上国のラオス、さらには軍事政権のミャンマーを抱えるとあっては政治的、経済的に歩調を合わせることは難しい。特に経済面ではIT(情報技術)革命のただ中で、デジタル・デバイドとも新・南北問題とも言える域内格差を生み出しつつある。加盟各国が独自の歩みを強める一方、ASEANプラス3(ASEANプラス中日韓)という新たな枠組みも誕生。ARF(ASEAN地域フォーラム)への北朝鮮の参加も決まり、経済・安全保障の協力関係が東アジア全体へと広がってゆく中で、ASEAN自体の存在理由は希薄になっている。

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