饗宴外交の舞台裏 (53)

中国の次期指導者・胡錦濤を品定めした米ブッシュ政権

執筆者:西川恵 2002年6月号
エリア: 北米 アジア

 中国の次期指導者と目されている胡錦濤国家副主席(五九)が、四月二十七日から五月三日まで、米国を初めて公式訪問した。 滞在中の会談相手はブッシュ大統領をはじめ、チェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官、オニール財務長官、上下両院の重鎮議員と多岐にわたった。同副主席はこの秋、中国共産党大会で江沢民総書記(国家主席)の後任に選ばれ、来春に国家主席ポストを引き継ぐとみられており、これを前に米国の首脳と意見交換し、信頼関係を築くのが狙いだった。 ただ、訪米時にはメディア向けのパフォーマンスで米世論を引きつけた江沢民国家主席や朱鎔基首相と違い、同副主席は米メディアのインタビューに応じず、記者会見も持たなかった。能吏の生真面目な性格もあるが、「禅譲」を前に、突出して中国国内の反発を買わないよう気を遣ったようだ。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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