松下電器“V字回復”の真贋

執筆者:安西巧 2003年12月号
タグ: 中国 日本

創業以来の伝統を塗り替え、業績の回復基調は鮮明になった。松下の復活は本物なのか。「中村改革」をあらためて検証する。「社名に込めた我々の意気込みを十二分に汲み取って欲しい」 十月一日、「TOP」と名づけられたその会社が北陸の地方都市でひっそりと産声を上げた。「タケフ・オリジナル・プロダクションを頭文字で表した」と関係者の一人は続けて説明を始めた。 新会社の従業員は四百八十五人。実は、直前まで彼らは皆、「武生松下電器」(福井県武生市)の社員だった。 八月二十七日の終業時刻近く、社員食堂に集められた武生松下の社員は、社長の岡龍吉から「年内で工場を閉鎖し、会社を清算する」と唐突に宣告された。

カテゴリ: 経済・ビジネス
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
  • 24時間
  • 1週間
  • f